Berlin,Weimar,Leipzig,Dresden,Prague, Vienna and Krems 2018 #7

Tuesday, December 11, 2018

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半年かかりましたが、ようやく最後の旅程にたどり着きました笑

遡ること、それは私がドイツに正式に住み始めた年である2006年。(2003年くらいからすでに行ったり来たりしていた)
文化庁の研修が始まるのがその年の9月からだったけど、4月から前乗りしていた私は夏の間にニーダーエスターライヒ州(欧州トップクラスの観光都市ウイーンを擁す、お金持ち州)から招待されてクレムスという小さな町のレジデンスに一ヶ月滞在制作をしたのでした。

このクレムスという町はヴァッハウ渓谷やその他の町とともに世界遺産の一部で、のんびり観光船で下って行くことができます。
まずはウイーンから、修道院で有名な町メルクまで移動し、船着場を目指します。メルク駅からの道のりが思いの外遠く…ゆっくり歩いたら30分くらいかかるかも。
豪華な修道院や可愛い旧市街地に後ろ髪を引かれながら、船の時間ギリギリに船着場に到着。
チケットは船の中で買えました。
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ありがたいことに、船の中に置いてあるパンフレットには日本語での説明もあり、とても楽しめました。(私たち以外に日本人観光客はいませんでしたが。)
こんな感じで河畔の歴史建造物などを船窓越しに眺めながらドナウ河クルーズ
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クレムスはこの観光船の終点。トップ画がクレムス船着場です。
12年ぶりに訪れるクレムスですが、全ての道を覚えていて、ブランクを感じない記憶の鮮明ぶり。
ここのスーパーで食材買ったな、とか、そうそうここにこんなお店あったな、とか。
ウイーンから電車で一時間の場所でありながら、ちょっとした田舎なので町の人たちは素朴で優しい。
嫌な思いが一度もなく、みんなに親切にされたことしか覚えていません。
とても美味しい白ワインの産地なのだけど、今回は楽しむ時間が持てず残念だったな

AIR(アーティストインレジデンス)は外観が少し改修されていたけれど、しっかりとありました。
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認証ショットも撮りました笑
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このAIRは最高の住環境やスタッフが揃っている上に、少なくない金額の滞在費もくれて素晴らしい高待遇だったなぁ
滞在中運良く雑誌取材が入り、ドイツ語でインタビュー受けたりと、いいことばかりだった!

AIR前でひとしきり思い出に浸った後は町の真ん中にある公園で一休みし、長い商店街でパンを買ったりしながらクレムスの鉄道駅に向かいます。
何もかもが懐かしい。
十二年前にすごく気になった妙な石像も健在笑
前にAIRスタッフにあの石像は何?と聞いたけど、なぜかあまりはっきりと教えてくれたかった。。
絵葉書にも載っている町の中では重要な石像なのに
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この日は夕方頃電車に乗ってウイーンに戻りました。

本当はもっとボリューム多くクレムスの思い出など振り返りながら書きたかったけど、これくらいでおしまいにしないと年内にアップできなさそうで…笑
でも、今回久しぶりにドイツ方面に戻ってみて、住んでいた頃は感じづらくなっていた良い部分がたくさん見えたことは収穫だったなぁ。
年一くらいはドイツにも遊びに行きたいと思えるまでに。
大学院修了とともに文化庁の在研に選ばれて、そこから四年半ヨーロッパに住んだけど、怖いもの知らずの20代半ばで海外に移り住んで色々な経験を積んで本当に良かった。
学生時代から日本ですでに作家として注目されていた私を、周りは「今海外に行くのはもったいない!」と口を揃えて言ったけど、逆に海外に行くなら修了したこのタイミングしかないと思って一念発起。30代以降は作家としてもっと社会的立場ができて、長期で海外に移るのは難しくなると分かっていたから。
欧州でつけた筋肉のおかげで今動けていると心底思います。作家として必要な思考やタフネスを身につけることができた、と。
もしタイムマシーンがあるなら、よく頑張ったあの頃の自分に会いに行ってよしよししてあげたい^^

若い時に海外に行かなくて後悔した人をたくさん知っています。
もしこれを読んでいる若い人がいたら、どんな手を使ってでも外へ出てね。それがあなたの生涯の財産になるから。
あと外国語の勉強は必須ですよ笑
ベルリンに移り住んでおいて「英語が通じない!」って怒ってた某シンガーさんいたけど、もちろん英語は話せた方がいいけど、最低限住む国の言語を獲得する努力は、住まわせてもらう外国人としての礼儀と私は思っている。
どこ行っても英語で押し切る人いるけど、非英語圏では英語が通じないことが当たり前。話せる人いたら超ラッキー!ってくらいのものです。
個人的には、フラ語とドイツ語と英語のおかげで欧州どこに行ってもだいたいの単語などは想像がつくようになりました。
日本に帰ってきてからも、欧州系言語を目にしたら、ふんわり推測で意味がわかることがあり楽しい。
日本人だから当然漢字がわかるので中華系もイケるし、ハングルも一通り読めるようになり、簡単な会話はできるようになったから韓国旅行もそれなりだ。
言語の勉強は自転車と一緒で、乗れない時は並行した不安定な二つの車輪にどうやって乗るのだ!と思うが、乗れてしまえば乗れなかった時のことなど考えられない。つまり、できて当たり前で、特別に感じなくなる。
ゲーテインスティテュートで学び始めた大学院一年時は、ドイツ語を話せるようになることは宇宙人になることに等しいとすら感じた。(つまり、完璧に不可能と感じるくらい難しく思えた)しかし、やってできないことなどないものなのよね〜宇宙人に転生せずともできちゃうものです。
だから海外に興味のある人は本当に諦めずに頑張って欲しい。

そろそろパリにも帰りたいのだけど、仕事が一段落した!さあ!ってエアチケ探し始めたらジレ・ジョーヌの騒動が始まり…しばらく帰れそうにないなぁTT
というわけで、これからバースデーをお祝いしにハワイに一週間ほど行ってきます♡
みなさまも素敵なホリデーシーズンを!

Berlin,Weimar,Leipzig,Dresden,Prague, Vienna and Krems 2018 #6

Wednesday, December 5, 2018

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インスタグラムの方をチェックしてくださっている方にはどれだけ周回遅れの内容なんだという感じなのですが、初夏のバケーションのダイアリーを続けます笑

6都市目、ウイーン。
このあと記すクレムスにレジデンスで一ヶ月滞在したのは2006年のこと。その際も週一でウイーンに通っていたし、家族旅行で来たこともあるので、遠い昔とはいえ慣れ親しんだ都市です。
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ウイーンのいいところは、コンパクトなところ。見るべきものが、ほとんどまとまって存在しています。
街の人がドイツ人ほどキツくないところ。
観光客慣れしているところ。
あと、もちろん、非常に文化的に優れているところ。
食べ物一つとっても、やはり宮廷文化が栄えた場所は華やかで、砂を嚙むように味気ないベルリンに住んでいた私は、当時ウイーンに来ると呼吸が楽になる思いでした。
「Total anderes aus deutsch!(ドイツとは全然違うわ!)」という社交辞令をよく使ったものです笑 それを聞いたオーストリア人の頬の上がる感じは皆一様でした。
実際、使用している言語も一緒のお隣の国だけど、街の持つ成熟した柔らかい空気感や、ハプスブルグ家ゆかりの高潔な美しさなど、ドイツにはない要素がいっぱい。

ウイーンの定宿はホテルザッハー。そう、あのザッハートルテ発祥でウイーンでも歴史あるファイブスターホテル。
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ここは立地がとにかく最高で、リングの内側、オペラ座の真裏、観光の中心地コールマルクト通り入り口などなど、とにかく便利。
お部屋もいろいろなタイプがあって、どの部屋も本当に美しい。
旅の最後はスイートルーム。
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すごく広いし、窓からの眺めもデューラーのウサギの絵を持っていることで有名なアルベルティーナが美しいです。
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ザッハーは朝食が最高。
お値段はかなりするけど、朝からザッハートルテ食べ放題!笑
美男美女のホテルスタッフが本当に丁寧に接してくれて、優雅なブレックファースト体験ができます。
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子供用のコーナーもすごく可愛い!
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ブルーチーズが大好きな私だけど、ここの朝食で出たものが過去最高に美味しかった…!あんな美味しいチーズがこの世にあるなんて…!!
各テーブルの生花もヨーロッパのお花とアレンジといった感じで、本当に素敵じゃないですか?
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右を見ても左を見てもうっとりのホテルザッハー。
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観光に話を戻しましょう。
とにかくあまりにも何度も来たことのある街なので、宮殿等の主要な観光地は割愛し、美術館などをじっくり回りました。

実はこの欧州旅行の最大の目的は、ウイーン美術史美術館のクリムトの壁画に近づける階段「Stairway to Klimt」でした。
クリムト没後100年の記念事業で、それまで何十メートルも離れた対岸の廊下から眺めるしかなかった美しいクリムトの壁画を、間近で見れる滅多にないチャンスでした。
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何度も訪れた美術史美術館、その中でも天井近くに描かれたクリムトの壁画はとても好きな作品。
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接近して眺めると思っていたより筆致は粗めで、絵の具も彼の普段のタブローに比べたら薄い。場所が場所なだけに、速描きだったことが伺えます。
思う存分壁画を堪能した後は、常設展示室へ

世界三大美術館に数えられるウイーン美術史美術館、そのコレクションの質はもちろんトップオブトップ。
フェルメール「画家のアトリエ」、ブリューゲル「バベルの塔」「農民の結婚式」、ベラスケス「王妃マルゲリータ」などなど、人類の宝物のような絵画が山のようにあります。

私がいた頃にはなかった試みなのだけど、最近の美術史美術館は、これらのコレクションといろいろな企画展を混ぜて展示する試みをしているようで、今回は「The Shape of Time」という現代美術とオールドマスターズの展示でした。
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Historisches Museumの文字通り「ヒストーリッシェス(=歴史的)」な場所においては意欲的な試みではあるのだけど、やや保守的な内容で、現代の作家は完全に評価が安定したビッグネームたち。面白いかといったら、正直疑問な感じ…?
下はブリューゲルの名作近くのピーター・ドイグ
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正直せっかく美術史美術館に来ているのだから、一枚でも多く、普通にオールドマスターズが見たい笑
行きの飛行機の中で観た「グランドブダペストホテル」のウェス・アンダーソン監督がキュレーションした展示も最近あったみたいですね。どんな感じに仕上がったのかしら。
なんにせよ、この度最大の目的であるクリムト壁画を間近で観られたのだから、よしとします。

お近くの、レオポルドミュージアムでは常設の素晴らしいエゴン・シーレやクリムトの展示以外に、上階でとある女性個人コレクターのコレクション展がやっていました。
私は存じあげなかったのだけど、このハイディ・ホルテンさん何者でしょう?!
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サイト読んだら、初めてオープンに見せる展覧会って書いてあるけど本当?!?!?!ものすごーーーーーーーーーーーーーいコレクションだった!!今までこれを基本個人で楽しんでいたということ?!信じられないクオリティ。
初期ルシアン・フロイトから、フランシス・ベーコンの傑作、シーレなどの世紀末、モダン一通り、そして奈良美智さんに到るまで、とんでもない量と質の高いコレクション…そしてゴージャスで美しいご本人に到るまで、世界にはとんでもない人がいるもんだと思わされる、まさに展覧会名「WOW!」そのもの笑
私もいつか彼女のようなゴージャスな女性になりたいものです。

小さいけれど存在感の強い初期フロイトのドローイング。ジョン・カリンとかもなのだけど、初期は驚くほどに形の追い方が独特。
そして、生で見ると後れ毛を異様にしつこく追って一本一本描いているあたりに「やはりフロイトはこうでいてくれなくては!」と我が意を得たり。
頭蓋骨に対して顔のパーツが大きすぎることも含め、自分の関心の大きい部分を強く描き出してしまう感じは、幼児の感性にかなり近い
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レオポルドミュージアムは現代的な建築の美術館なのだけど、ふと気がつくと白壁に絵がかけてあるかのような窓の風景。
窓枠右側にリヒターのオイルがあるのだけど、リアル風景画に押されてしまっている
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この企画展のカタログは本当に欲しかったのだけど、大きくてすごく重たくて泣く泣く断念。。
長旅なのでカタログ類ガンガン買えないのがとても残念。
休憩に入ったここのカフェは何やら日本風のメニューで、ウイーン名物シュニッツェルの乗ったカツカレーなど、ちょっとホッとする味わいでオススメです。

二週間の旅の最後にウイーンから電車を乗り継ぎ、世界遺産であるヴァッハウ渓谷を船でくだり、思い出の地クレムスにショートトリップしたのですが、せっかくなのでそのことは#7で書くことにしましょう。

先日ようやく120号の新作を描き終えて少しだけ気持ちに余裕があったからダイアリーを久々に書くことができました。
流石に#7は年内には書き上げたい…10月に行ったNYについても書かなきゃいけないし、来週はバースデーで海外行くし、時間見つけて頑張ります笑

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