Beautiful Stranger Goes To China

Saturday, February 6, 2016

先月は北京にも行ってきていて、そのことも書かなきゃいけないのだけどまずはこちらから。

台湾、香港は何度となく行っているけど初の中国本土。ましてや北京や上海など有名な街ではなく南寧という日本人にはあまり馴染みのないベトナム国境まで200km弱の亜熱帯の街…海外慣れしていると自負してるわたしにとっても少々ハードルが高い。
前情報が少なさすぎて不安だったけど、昨年末に参加中のビエンナーレ開催地である南寧に片道9時間、北京乗り換えで行ってきました。

DAY1
長旅の始まりは羽田から。早朝0830のチャイナエアーでまずは北京に。チャイナエアーは初だったのだけど、着席して30分でもうお尻が痛い。。。シートの質。。。おまけに飛行機が一時間近く飛ばなくて、二時間あった北京での乗り換え時間がかなり足りなくなる。リモワを引きずり12センチヒールのショートブーツで空港を走った走った…!やっとゲートに着いた頃にはすでにボーディングは始まっており、ギリギリ間に合ったという具合。
他の関係者は前日から南寧入りしているのだけど、私は天狼院さんのイベントで高階秀爾先生とトークがあったため自分だけオープニング当日入り。着いてすぐにパーティーに合流できるようにぴらぴらのワンピースとがっつりハイヒールで9時間の移動、なかなか苦行めいている。

これはトランジットの北京空港、噂通り真っ白
IMG_0056 2

IMG_0058
そして乗り換えた飛行機はびっくりするほど小さくて古い機体の深圳航空…!シートが見たことないくらい狭い。前日の疲れもあり機内ではひたすら寝ていたので思いの外移動時間は短く感じられたのは良かった。

空港ではアシスタントのチャイニーズ男子カインが名前を持って立っていてくれて、迎車で夕食会会場へ急ぐ。
カインは英語が私よりも上手いのに、聞けば留学経験などもなく「I’m trying my best」だって。ベストを尽くしてるにしたってうますぎる。

IMG_0070
今回オーガナイザーが用意してくれたホテルは最高級五つ星でお部屋も広くすばらしかった。
ホテル内パーティールームで夕食会は開かれており、荷物を降ろして急いで合流。
アイリーンとも無事に落ち合え、ビエンナーレ参加作家やスポンサー、キュレーターの方々と楽しく会食。
みんな驚くほど良くしてくれた。食事もまさにチャイニーズで美味しかったけど、ひたすら注がれる白ワインがすごい個性的で、ボトルを見たらドイツ語が。見たことのないワインだけど中国では有名だそうだ(本当?)。
IMG_0063

みんなたくさんのお酒を楽しんでいたせいもあってか、男性たちが口々に中国で有名な邦人ポルノスター女性の名前を出しては「知っているか?」と聞いてくる。行く先々のテーブルで同じ質問を受けた。
最初は適当に対応していたけど、何回も続くうちに初対面の外国人に対しての会話には不適切なテーマすぎて嫌気がさしたので「すごく不快なサブジェクトなのだけど、中国の男性は日本人の女の子たちをその彼女と同様、性的に消費する対象として見たいの?」と聞いてみた。するとその場にいた中国人の女の子がタジタジと「そういう風には思っていないけど、彼女はあまりに有名だし、私たちは彼女しか日本人女性を知らないから…」とお茶を濁す回答。
日本の性産業がアジア諸国で大人気なのはネット等で見聞きして知っていたけど、どう考えても初めて会った女性に振る話題ではない。彼らに悪意がないのは承知の上で、良くも悪くも中進国らしいアンソフィスティケーティッドぶりを見た。

アイリーンに紹介されてお話しした70前後の偉いキュレーターの男性ももれなくその話題に言及してきた。
そして彼は私に美しい美しいと何度もフランス語と英語で言った口で「で、本当に中国人じゃないの?」とも。その言葉の裏には私に対し、自分の同胞・中国人であってほしいという願望が透けて見えた。
しかし「100%日本人です」と返すと「君は美しい。だから僕たちの敵ではない」と彼は言った。
「ファシズム。わかる?ムッソリーニとかあんな感じの。日本はファシズムの国だね?酷い国だけど君は美しから敵じゃない」そう何度も何度も言われた。
これぞ大陸の洗礼。予測はしていたからショックはないけど、それなりに考えさせられた。
思いの外男性たちは全員優しく歓待してくれたものの、日本は政敵(性的、と予測変換で出た。これもまた一つの真理。)だという気持ちも彼らは隠しきれない。
会食にはたくさんの美しい中国女性たちがいたけど、彼女たちにはあまり歓迎されている気がしなかった。
ああ、この懐かしい感じ。
ドイツに初めて住んだ時に感じたことと全く同じだ。
私は思いがけずアジアの中でも再び美しい異邦人になったのだ。
もちろんこの「美しい」にはたくさんのアイロニーが含まれている。
「自分より下だけど魅力的だ。」そうみんなの心の声が聞こえてきた。到着して二時間で彼らの本音たる中華思想に触れることができ幸運と思った。

IMG_0067
なんにせよ会食は楽しく終了。その後アイリーンと他の中国人アーティスト3人と市内へ繰り出し素晴らしいマッサージを受けて心地よくホテルへ戻った。
マッサージ安くて上手くてお部屋も可愛くって最高!毎日行きたいくらい。
なかなかいい夜だった。

DAY2
昼にアイリーンとホテルのラウンジで落ち合ってランチを食べてからビエンナーレ会場に向かう。
中国の皿うどん、トーチー入っててすごく美味しい。やっぱりアジアはご飯が美味しくて幸せだ。

南寧は日本ではあまり知られていないけど、十分に大きな街で驚かされた。方々へのタクシー移動もそれなりに時間がかかる。
ビエンナーレ会場は街中にあり、大きなビルの2フロアを使って展開されていた。
入り口にはたくさんのお花
IMG_0081

ビエンナーレは6割くらい中国人作家、残りはASEANの作家たちといった様子。
移流同源というテーマに沿って、多様性のある作品が並んでいた。
何人か面白い作家もいる。

運良く幾つかパフォーマンスが見れたのだけど、どれも本当に面白かった。
特にシンガポールの作家のパフォーマンスはショッキングなほど良かった。
IMG_0115

フィニッシュだけ見てもそこでなにかすごいことが起きていたのが想像できると思う

おもちゃから奇怪な音を出しながらのパフォーマンスだったのだけど、見とれていたら突然パフォーマンス中の作家が私の前に来て「このスイカを持って、この椅子に座って」と言った。
それまでも十分に刺激的で激しいパフォーマンスだったから自分がその中で何をやらされるのかとても怖かったけど言われるがまま従い座ってスイカを持つ。正直頭の上からペンキを掛けられるとか、スイカごとハンマーで打たれるくらいは覚悟していた。
みんなが見つめる中、私を含めたパフォーマンスが始まった。
会場の空気は緊迫感にあふれている。
突然背後から抱きつかれ、そのまま3分くらい動かない。
作家の驚くほど速い心音が私の皮膚の上で弾けた。
perfo2

FullSizeRender 3
その後はこんな感じで進んだ。性的メタファーに富んだ役目を思いがけずおわされた。
その場にたくさん女性はいたけどふわふわモヘアの白ニットを着て見るからに妙齢の女性といった風情の自分が選ばれた理由が良く分かった。
前日から中国において自分のジェンダーが意識される瞬間ばかり経験していたが、このパフォーマンスが自分の中進国においての見られ方を改めて明確にした気がした。一歩日本を出ればそれがどこであろうと自分は美しき異邦人なのだという真理である。
ショッキングな内容だったが不思議と嫌ではなかった。
早鐘のような彼の鼓動が私(に象徴させた女性性)に触れることへの畏怖や抗えない原初的衝動を伝えていなかったら印象は変わっていたかもしれないけども。
一見粗野で攻撃的な内容だが、きちんとアートとして昇華された良質なパフォーマンスだった。
IMG_0124

もう一人パフォーマンスした子は前日夜に一緒にマッサージを受けに行ったのだけど、片言の英語で一生懸命私のお世話をしてくれた優しい人と一変、なかなかにしてクレイジー。
躊躇なくみんなの前で全裸になり、床に這いつくばり、最後は目を自分の着ていた服で完全に覆って全力で壁に向かってダッシュ→激突(もちろんすごく痛い)を何度も繰り返す。
体を張った素晴らしいパフォーマンスを見せてくれた彼に熱い拍手が起きた。

この二つの身体表現に私は完全にやられてしまった。
そして勝てないなぁと思った。個人戦はさておき、相対的に見たら今の中国という国に日本は勝てない。
そう感じた。
日本はソフィスティケイティッドされすぎて、コンサバすぎて、この野卑てギラギラ願望丸出しでエロスもタナトスもそのまま躊躇なく生命エネルギーに変換する中国という国の勢いに真っ向からは勝てない。
こういう瞬間、作家をやっていて、アートという切り口から世界を覗かせてもらい、計測させてもらい、自分の足で稼いだ地図を頭の中に作れる喜びを最大限に感じる。
アーティストで良かったなぁって。
世界はこんなにもまだまだ面白い。
家でpcぽちぽちやってても絶対に見ることができない世界は、健康であれば何処へでも行って見て聞いて触れられる。
アーティストはハイパーツーリストなのだ。

market
夜はスタッフの子たちに誘われ街のナイトマーケットで夕飯を食べた。
これがまたものすごーーく美味!ベトナムに近いのでやはり南国っぽい食材が多いのだけどどれもこれも本当に美味しかった。

dinner

南寧のスタッフとは今でもwechatで毎日やりとりするほど仲良くしていたり、いつかまたここを訪れることができたらいいなと思っています。
たまには全く情報のない街を現地人を頼りに旅をしてみるのも面白いもの。
異邦人の旅はまだまだ続きます。
北京の日記を書きたいのだけど忙しすぎていつになることやら..

ⓒ SAI HASHIZYME ALL RIGHTS RESERVED.

page top