everyday is a new day

Tuesday, February 7, 2012

cevin-blume_1
描いても描いても描いても描いても終わらないなぁ。
あともうちょっと、の状態が一週間以上続く。
終わり、って判断を下すのは自分自身なのだけど、なかなかそうは言ってくれない。
もし仮に一枚終わってもまた次の瞬間から別の作品が描き終わられるのを待っていて、まさに無限ループ。
朝起きたら絵がいつのまにか完成してた…とかあったら良いのに、って受験生のころからよく思う。
絵を描くことを仕事にしている人なら誰でも必ず思うことでしょう。
妖精かなにかがこっそり夜中に描いて終わらせておいてくれたらいいのに、って。

ドイツの大学に通いだしてすぐ、ある朝アトリエに行くと、私のパレットの上にとても良い匂いの花が置かれていた。
同じアトリエを使用していた男の子に「ねえ、これ君がくれたの?」と聞くと、少し恥ずかしそうに「サイが今花の絵を描いているからぴったりだと思って来る途中摘んだんだ。」と言われた。
絵は自分が描いた通りにしか進まないけど、パレットは一晩で自分が思わぬ形に変化をすることもあるのだとその時知った。

そういえば今朝突飛に芸大の受験番号を思い出した。
246番。
涙で番号が滲む、だね、とN君に言われた。
番号見つけた時は死ぬほど嬉しかった。高校生だった私は制服でピョンピョン飛び跳ねて喜んだ。滲んだ涙は嬉しい涙だった。

必死で描き貯めた作品をギャラリー壁面にインストールする瞬間のカタルシスもそれに近い。
その瞬間があるから、こんな難儀な仕事を続けられるのです。
そこで与えられる幸福感は作家生活の1-2%位でしかなくて、残りの98%は正直あまり楽しくないのだけど、それを鑑みてもなおその2%の強烈な多幸感の輝きの為に自分の人生を賭していいと感じてしまう私はやはりアートの捕虜なのでしょう。

泥のように疲れて眠り、また日が昇って新しい一日が始まってしまった。
今日も一日良い仕事になりますように。

N君はもうこの世にいない。
描くことを色々な理由で続けられない人も多いでしょう。
苦しい側面ばかりに日頃目が行きがちだけど、美術家に生まれた以上、日々芸術に触れられる生活に心の底から感謝をしなくてはいけないと思い改めて今日も過ごそう。

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