Amazon,John Currin そして谷崎潤一郎

Monday, May 31, 2010

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久しぶりに画集をamazonにて買いました。
というのも、パリに移り住んでからというもの一度たりともまともに荷物が届いた事がなく、amazon.frで注文するのがためらわれていたからです。
ドイツに住んでいた時ですら荷物がまともに届かなくて困っていましたが、さすがフランスその比じゃありませんね。
ドイツでは確実にその時間は家にいたのに、インターフォンをならされた形跡もなくいつも不在表がポストに入っており、近所の郵便局まで引き取りに行っていました。受取人の名前が外人だと配達する側も差別的にこういった事を平気でします。
しかし、パリはもーーーっとひどくて、今まで過去数回荷物を送ってもらったのですが、ベルリンからの引っ越し時の16箱すべて赤の他人が受け取り、サインまでして黙って持っていたり(何のための宛名だか。。偶然持ち主を探し当てて、引き取りました)、母がわざわざ送ってくれた去年のビエンナーレのカタログは結局うちに届けられる事なく、どこにいったのやら…
アパルトマンの集合ポストに基本放置される荷物はなくなりやすく、周りも被害が続出しています。
荷物が絶対に届く日本って、奇跡としか言いようがない。

こんな状態なのでとてもじゃないけどアマゾンを利用できず、フランスは画集が高いので我慢していました。
そんな中比較的アマゾン注文に成功している友人に頼み代理でJohn Currinの豪華本を、最近新たに考えている作品シリーズのリサーチとして購入してもらいました。
彼は2000年前後に日本でも名前を聞くようになり、当時の美手帳では会田誠氏と比較などもされていた作家。
一見どこまで本気かわからない人を食った表現も多いカリンですが、経歴を見ればアメリカの超エリートで全部が計算である事も見て取れます。
最近のアメリカの売れっ子作家はみんな軒並みハイパーエリートが多い。彼らにとってアートはインテリジェンスゲーム的な側面もあるのでしょう。ゴッホ系の魂のアーティスト的なアティテュードは時代性に合わないんでしょうね。
あくまで欧州内での話ですが、やはりラテン系の作家は未だにパッションが作品を作るエンジンになっていて、北に行くに従って作品と作家の距離がある。
イタリアやスペインにはVicky Christina Barcelona(去年のウッディー・アレン作品)のアントニオみたいな絵描きが未だに本気で存在している。

とにもかくにもがアマゾンでの注文は渋っていましたが、たまに掘り出し物の画集を見つけては別のところで購入していました。
パリの市内に何店舗かMona Lisaitという本屋があり、そこでは「これ、どこの?!」と言いたくなるようなマイナーな出版社の画集なども格安で売られています。偶然マレを散歩中に見つけて以来なにかとお世話になっていて、画集以外にも面白い洋書が豊富でおすすめです。
それでもやっぱり印刷物の父・グーテンベルグを生んだ国、ドイツの方が本屋は充実していたなぁ。ハンブルガーバンホフ美術館の本屋とか懐かしい。

本といえば、現在寝しなに谷崎潤一郎の春琴抄を読んでいるのですが、面白くて面白くて…!
谷崎は欧州でも人気で、ベルリンのメトロで痴人の愛(独題「NAOMI」)を読んでいる女の子を見た事があります。
こんなにしっとりとした官能の世界を最上の日本語で書き上げる谷崎氏に深く畏敬の念を感じます。未だかつてタイプされた文字に登場人物をここまでリアルに想像させられた事はあったかしら…
すごすぎて読む前にちょっと勇気がいるほど。
ちょうど読み始めた5月23日は作中で春琴の誕生した日でもありました。
美しき盲目の三味線師匠・春琴とその弟子・佐助の絶対的な従属関係の中での愛がどうなっていくのかドキドキしながら読んでいます。自分より若年の幼女・春琴に稽古という名の暴力折檻を受けて夜毎ひぃひぃ泣きながらも献身的に彼女を支える佐助。
痴人の愛のナオミもそういえばおじさん殺しだったな。
春琴は別の弟子の利太郎に傷つけられ、その姿を永遠にとどめるために佐助も自ら盲目になるのですが…
すこしあらすじ書くだけでこの濃度!
谷崎の美意識炸裂です。

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